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逢坂みえこTHE BEST
詳細は追記へ
一読したときはやさぐれていたのか、さらりと読んでしまっていた。
今回もう一回読み返してみて、ほろり。
なんだか物悲しくて
少し切なくて
とてもリアルな気持ちで
そう言う部分が好きです。
逢坂みえこ先生。
そんな短編集。
けれど決して悲しい気分で終わる話じゃなくて。
どちらかといえば、前向きにさせてくれる。
【純毛ブランケット】
恋愛は駆け引きが重要で、先に惚れた方が負けだと信じて疑わない一姫と二太郎の姉弟。
それはスレた考えからではない。
『先に好きになった方がやっぱりせつない
たくさん愛した方がやっぱりつらい
満たされない 淋しい思いをしたくなければ
惚れちゃ だめだ』
そんな二太郎に何かとかまってくる野沢。
全然タイプじゃないけれど、周りからははやしたてられ、
だんだん気になる存在になっていく。
けれど実は・・・
二太郎の言葉が切ない。
「だんだんかわいく見えてくるもんなんだぜ
こーゆー場合。
はじめはちょっと困ったもんだと
思うかもしれんけどよ。
そのうちだんだん彼女の存在が 目に付きだして
大勢の中でも彼女の髪だけ 黒く見えるとか
彼女の声だけ よく聞こえるとか
しまいには 『笑うとかわいいじゃん』なんて思いはじめる」
そうなんだと思う。
それは間違いなく恋の始まりなんだと思う。
けれど、二太郎の恋はそれに気づく前に
終わってしまった。
秀逸なのが姉弟の会話シーン。
「つまり あんたその子に失恋しちゃったわけだ」という姉、一姫に
二太郎は答える。
「それが わからないんだ・・・
自分の気持ちが わからないんだ」
失恋したから悲しいのか、
プライドを傷つけられたから腹立たしいのか、
そもそもじぶんが野沢を好きだったのかどうか、
それすらわからない。
「こんなことなら 自分から先に好きになっておくんだった
そしたらこんな 宙ぶらりんの気持ちのまま
終わることもなかったのに
自分が恋をしたのかどうかも
わからないなんて
・・・最低だ」
二太郎の苦い気持ちを軸に、
愛犬とのかかわり、そして一姫と恋人との恋愛模様が描かれる。
姉弟でこんなに恋愛について語り合うことは
普通はないとは思うのだけれど、
そのことがこの物語に温かさを生んでいるとおもう。
愛するのが幸せなのか。
愛されるのが幸せなのか。
けれど時に心から強く誰かを想いたいと想う
この気持ちはきっと、
生まれ持った愛の本能なんだろう。
【夢で逢いましょう】
繰り返し見る椿の夢。窓の外、椿の向こうにいる人は、どことなく生物教師の上杉に似ている。
そしていつも悲しい顔をして立ち去ってしまうのだ。
冬子は知っている。
上杉がとても変な奴で、
女生徒にもてもてのいけ好かない奴で、
生物の薀蓄ばかりいっている奴で、
・・・・とっても優しいことを。
けれど冬子は素直に慕うことができない。
「苦手なのよ
好きな人ならなおさら
ぶりっこしたり 媚売ったり
そういうの ものほしそうで あさましくて いやなの
できない」
夢の中の椿の人は、そんな冬子に悲しく笑って教えてくれた。
「早く素直になったほうがいい
手遅れの恋はせつなすぎる」
『あこがれに近い片恋は かえって心に焼き付いてしまう』
それは冬子の祖母の記憶だった。
デジャブについて教えてくれたのは上杉だった。
冬子の祖母の恋がとても切なかった。
素直にさえなれていれば、運命は変わったかもしれなかった。
その未練が、繰り返し冬子にあの夢をみせる。
夢の中である日、冬子は初めて窓を開けた。
「帰ってきたら、結婚してください」
それは幸せな夢。
かなわないとわかっている、幸せすぎる夢。
幸せすぎて、悲しい夢。
「還ってきます、きっと」
その言葉を最後に、冬子はもう椿の夢をみることはなくなった。
そして、冬子自身の恋・・・
上杉に失恋した別の女子が友人に慰められている。
「あこがれの片思いなんて すぐに忘れるわよ」
「忘れられない」
「忘れるって」
その会話を聞いて、冬子は微笑むのだ。
「すぐに忘れるわ
すぐに忘れて 大人の恋をして
結婚して 出産して 幸せな生涯を終えて
そして あたしが土くれになったころ
あたしによく似た巻き毛の孫が
不思議な夢をみるかもしれない
そして いえなかった一言を・・・」
あこがれに似た片恋だからこそ
その恋は時空を超えて
不思議な記憶となって
かなえられなかった想いを
いつかきっとかなえに行くのだろう。
【おにいさまとお呼び】
スーパーマンのようなあこがれの兄。春子にとって自慢の兄。
田舎から越してきた兄弟は、都会の中で徐々に変化していく。
こういう兄弟ものってすごく弱い。
お姉ちゃんコンプレックスなもので。
「佐々木の言うとおり
私たちはいとも簡単に中学生になり
小さい頃は とてつもない大人に見えた
高校生になり 大学生になっていった」
兄はスーパーマンじゃなかった。
人生はほろ苦い。
みっともなく生きていくしかない。
それをなんとなく知ったあの頃。
けれど、兄と過ごしたあの頃は
やはりかけがえのない日々なのだ。
【天才ジミーの人生】
30才オタクの清水よしみ。
お世辞にも美しいとはいえない外見に、人付き合いが下手な性格。
自分は昔から天才だった。
だから一般人には理解されないのだ。
一般人とは違うと自負する自分だったが、昔の同級生花川に出会ってから
少しずつ周囲が変化していく。
コンピューターつながりで知り合った野田は花川の婚約者。
よしみは素敵な野田がきれいな花川よりも自分との共通点が多くて
浮かれている。
けれど、よしみがみた現実は・・・
恋もダイエットも仕事も 全部頭の中では完璧にできる。
コンピューターの中では完璧にできる。
けれど、現実では何もできない自分。
よしみは気づいた。
後は実行するだけ。
世界は広い。
私の部屋より、コンピューターより、私の脳みそより、
ずっと、ずっと。
【昼の『さんぽ』】
大好き。
犬好きな私にとっては一番泣けた。
おばあさんと犬の散歩の描写が特に泣けた。
「イヤな悲しみとイヤじゃない悲しみがあることを
最近知った」
わかる。
すごくよくわかる。
悲しいのはイヤじゃない。
イヤな悲しみがあるだけだ。
悲しいのは、忘れていない証拠でもあるから。
ずっと覚えている証拠でもあるから。
---
出会いより辛いのが別れ
でも
出会いより素敵なのも別れ
別れが辛ければ辛いほど
悲しければ悲しいほど
あなたとのつながりが
確かにあったこと
いつまでも忘れずにいられる
---
っていう中学くらいに作った詩を思い出した(恥)
今回もう一回読み返してみて、ほろり。
なんだか物悲しくて
少し切なくて
とてもリアルな気持ちで
そう言う部分が好きです。
逢坂みえこ先生。
そんな短編集。
けれど決して悲しい気分で終わる話じゃなくて。
どちらかといえば、前向きにさせてくれる。
【純毛ブランケット】
恋愛は駆け引きが重要で、先に惚れた方が負けだと信じて疑わない一姫と二太郎の姉弟。
それはスレた考えからではない。
『先に好きになった方がやっぱりせつない
たくさん愛した方がやっぱりつらい
満たされない 淋しい思いをしたくなければ
惚れちゃ だめだ』
そんな二太郎に何かとかまってくる野沢。
全然タイプじゃないけれど、周りからははやしたてられ、
だんだん気になる存在になっていく。
けれど実は・・・
二太郎の言葉が切ない。
「だんだんかわいく見えてくるもんなんだぜ
こーゆー場合。
はじめはちょっと困ったもんだと
思うかもしれんけどよ。
そのうちだんだん彼女の存在が 目に付きだして
大勢の中でも彼女の髪だけ 黒く見えるとか
彼女の声だけ よく聞こえるとか
しまいには 『笑うとかわいいじゃん』なんて思いはじめる」
そうなんだと思う。
それは間違いなく恋の始まりなんだと思う。
けれど、二太郎の恋はそれに気づく前に
終わってしまった。
秀逸なのが姉弟の会話シーン。
「つまり あんたその子に失恋しちゃったわけだ」という姉、一姫に
二太郎は答える。
「それが わからないんだ・・・
自分の気持ちが わからないんだ」
失恋したから悲しいのか、
プライドを傷つけられたから腹立たしいのか、
そもそもじぶんが野沢を好きだったのかどうか、
それすらわからない。
「こんなことなら 自分から先に好きになっておくんだった
そしたらこんな 宙ぶらりんの気持ちのまま
終わることもなかったのに
自分が恋をしたのかどうかも
わからないなんて
・・・最低だ」
二太郎の苦い気持ちを軸に、
愛犬とのかかわり、そして一姫と恋人との恋愛模様が描かれる。
姉弟でこんなに恋愛について語り合うことは
普通はないとは思うのだけれど、
そのことがこの物語に温かさを生んでいるとおもう。
愛するのが幸せなのか。
愛されるのが幸せなのか。
けれど時に心から強く誰かを想いたいと想う
この気持ちはきっと、
生まれ持った愛の本能なんだろう。
【夢で逢いましょう】
繰り返し見る椿の夢。窓の外、椿の向こうにいる人は、どことなく生物教師の上杉に似ている。
そしていつも悲しい顔をして立ち去ってしまうのだ。
冬子は知っている。
上杉がとても変な奴で、
女生徒にもてもてのいけ好かない奴で、
生物の薀蓄ばかりいっている奴で、
・・・・とっても優しいことを。
けれど冬子は素直に慕うことができない。
「苦手なのよ
好きな人ならなおさら
ぶりっこしたり 媚売ったり
そういうの ものほしそうで あさましくて いやなの
できない」
夢の中の椿の人は、そんな冬子に悲しく笑って教えてくれた。
「早く素直になったほうがいい
手遅れの恋はせつなすぎる」
『あこがれに近い片恋は かえって心に焼き付いてしまう』
それは冬子の祖母の記憶だった。
デジャブについて教えてくれたのは上杉だった。
冬子の祖母の恋がとても切なかった。
素直にさえなれていれば、運命は変わったかもしれなかった。
その未練が、繰り返し冬子にあの夢をみせる。
夢の中である日、冬子は初めて窓を開けた。
「帰ってきたら、結婚してください」
それは幸せな夢。
かなわないとわかっている、幸せすぎる夢。
幸せすぎて、悲しい夢。
「還ってきます、きっと」
その言葉を最後に、冬子はもう椿の夢をみることはなくなった。
そして、冬子自身の恋・・・
上杉に失恋した別の女子が友人に慰められている。
「あこがれの片思いなんて すぐに忘れるわよ」
「忘れられない」
「忘れるって」
その会話を聞いて、冬子は微笑むのだ。
「すぐに忘れるわ
すぐに忘れて 大人の恋をして
結婚して 出産して 幸せな生涯を終えて
そして あたしが土くれになったころ
あたしによく似た巻き毛の孫が
不思議な夢をみるかもしれない
そして いえなかった一言を・・・」
あこがれに似た片恋だからこそ
その恋は時空を超えて
不思議な記憶となって
かなえられなかった想いを
いつかきっとかなえに行くのだろう。
【おにいさまとお呼び】
スーパーマンのようなあこがれの兄。春子にとって自慢の兄。
田舎から越してきた兄弟は、都会の中で徐々に変化していく。
こういう兄弟ものってすごく弱い。
お姉ちゃんコンプレックスなもので。
「佐々木の言うとおり
私たちはいとも簡単に中学生になり
小さい頃は とてつもない大人に見えた
高校生になり 大学生になっていった」
兄はスーパーマンじゃなかった。
人生はほろ苦い。
みっともなく生きていくしかない。
それをなんとなく知ったあの頃。
けれど、兄と過ごしたあの頃は
やはりかけがえのない日々なのだ。
【天才ジミーの人生】
30才オタクの清水よしみ。
お世辞にも美しいとはいえない外見に、人付き合いが下手な性格。
自分は昔から天才だった。
だから一般人には理解されないのだ。
一般人とは違うと自負する自分だったが、昔の同級生花川に出会ってから
少しずつ周囲が変化していく。
コンピューターつながりで知り合った野田は花川の婚約者。
よしみは素敵な野田がきれいな花川よりも自分との共通点が多くて
浮かれている。
けれど、よしみがみた現実は・・・
恋もダイエットも仕事も 全部頭の中では完璧にできる。
コンピューターの中では完璧にできる。
けれど、現実では何もできない自分。
よしみは気づいた。
後は実行するだけ。
世界は広い。
私の部屋より、コンピューターより、私の脳みそより、
ずっと、ずっと。
【昼の『さんぽ』】
大好き。
犬好きな私にとっては一番泣けた。
おばあさんと犬の散歩の描写が特に泣けた。
「イヤな悲しみとイヤじゃない悲しみがあることを
最近知った」
わかる。
すごくよくわかる。
悲しいのはイヤじゃない。
イヤな悲しみがあるだけだ。
悲しいのは、忘れていない証拠でもあるから。
ずっと覚えている証拠でもあるから。
---
出会いより辛いのが別れ
でも
出会いより素敵なのも別れ
別れが辛ければ辛いほど
悲しければ悲しいほど
あなたとのつながりが
確かにあったこと
いつまでも忘れずにいられる
---
っていう中学くらいに作った詩を思い出した(恥)
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